こんにちは。ROBOT PAYMENTでプロダクトマネージャーをしている石地です。
私は主に BPaaS(Business Process as a Service)型サービス「請求まるなげロボ」を担当しています。このサービスは、与信審査から代金回収までの業務プロセスを、債権管理課・与信管理課のオペレーションごと提供するプロダクトです。
今日は、プロダクトマネジメントの観点から、こうしたオペレーションをどう扱うべきか、現時点での考えをまとめます。
1. オペレーションチームは「単なるステークホルダー」ではない
BPaaS プロダクトを運営するうえで、債権管理課や与信管理課を「開発承認を得る相手」とだけ捉えるのは危険です。彼らは利害関係者であると同時に、内部顧客として扱うべき存在です。
機能開発や施策には法規制・社内規程・人員配置など多層の制約が絡むため、利害調整は不可欠です。しかし彼らは単に「要求を出す人」ではなく、最終的なユーザー体験を形づくる当事者でもあります。たとえば請求書発行や督促が遅れれば、債権譲渡元企業もエンドユーザーも不安になります。オペレーション担当者の “使いやすさ” は、そのままユーザーの “使いやすさ” に直結します。したがって彼らを、サービスを選定し利用する “内部顧客” として位置付けることが不可欠です。
2. プロダクト成長を支えるオペレーション
オペレーションチームは回収率・与信判定スループット・処理コストを追い、ビジネスサイドは新規 ARR とチャーン率を追います。一見別の指標ですが、「オペレーションがプロダクトを使いこなすほど、営業成果も顧客価値も向上する」 という関係があります。
たとえば債権管理課が業務フローを効率化すると、処理時間と工数が減るだけでなく、より丁寧な対応や難易度の高い債権回収が可能になります。結果として顧客満足度が向上し、その実績を営業が提案に活用すれば、新規受注の説得力が高まり ARR の成長に直結します。
SaaS では新規獲得が欠かせませんが、見込み顧客の要件をオペレーションで吸収することも少なくありません。オペレーション自体がプロダクト価値になるケースもあります。業務効率化で新しいオペレーションに取り組む余裕が生まれたり、債権管理課が一時的に運用で吸収しつつ標準化の目途が立てば、開発で機能化することも可能です。こうした循環により、オペレーションはプロダクト成長の要となります。
3. プロダクトマネジメントへの落とし込み
オペレーションの重要性を踏まえ、BPaaS プロダクトのマネジメントでは、オペレーションを理解・支援し、戦略に組み込むことが欠かせません。現在、具体的に以下の施策に取り組んでいます。
オペレーションの定例 MTG に参加する
開発チームがスプリントイベントに参加するのと同様に、オペレーション側の定例にも参加し、最新状況と課題を把握して支援につなげています。
オペレーションフローの効率化をサポートする
例:督促用オートコールの導入、必要データ抽出の自動化など。オペレーション自身の改善も重要ですが、プロダクトが提供できる機能や将来構想と整合するかを PM が判断し、支援しています。
開発アイテムの優先度にオペレーションへの影響を反映する
外部ユーザー影響を評価するのと同様に、内部顧客であるオペレーションチームへのインパクトと運用実現性を評価し、バックログを優先付けしています。
まだ試行錯誤の段階ではありますが、上記のアプローチは目に見える効果をもたらしています。組織やフェーズに応じて最適解は変わりますが、「オペレーション=内部顧客」という視点を持つことが、BPaaS プロダクトにおける PM の鍵になると感じています。
まとめ
オペレーションは BPaaS の価値と成長を支えるエンジンです。PM が現場と密に連携し、内部顧客としての視点で課題を拾い上げることで、プロダクトとビジネスの両軸を加速できます。オペレーションを戦略の核心に据え、チーム全体で継続的に磨き上げることが、価値提供への近道かもしれません。
We are hiring!!
ROBOT PAYMENTでは一緒に働く仲間を募集しています!!!