ROBOT PAYMENT TECH-BLOG

株式会社ROBOT PAYMENTのテックブログです

アンケート設計の手順と難しさ

こんにちは!株式会社ROBOT PAYMENT(以下、ロボペイ)でUXデザイナーをしている三木です。

ユーザー調査の手法にはいろいろありますが、今回は皆さんも取り組まれたことがありそうな「アンケート」を取り上げたいと思います。
アンケートは、フィードバックの収集、仮説の検証、プロダクト開発の指針を得るための重要なツールです。弊社でもユーザーフィードバックを得る方法としてよく活用しています。しかし、効果的なアンケートを設計することは一見簡単そうに見えて、実は多くの工夫と計画が必要です。
このブログでは、実務を通じて学んだアンケート設計の手順(配信するまでの流れ)と、よく直面する課題やそれに対する工夫点などについてご紹介します。すでに実践されていたり、ご存知の方も多いかもしれませんが、振り返りの意味も込めて読んでいただけますと幸いです。

アンケート設計のステップ

ここからはアンケート設計の具体的なステップと工夫点をご紹介します。

1. 目的を明確にする

アンケート設計の第一歩は、なぜアンケートを実施するのかという「目的」を明確にすることだと思います。
目的が不明確だと、質問数が増えすぎたり、焦点がぼやけることがあります。
今回実施するアンケートで何を知りたいのか?(顧客満足度を測るのか、新サービスのニーズを測りたいのかなど)を明確にすることで、アンケートの詳細の質問項目や各回答の選択肢もブレることなく一貫性が保たれます。

2. 対象者を明確にする

誰にアンケートを実施するのか?といった「対象者」を明確にすることも大切です。
対象者によって質問の種類や言葉の使い方、配信方法を変える必要もあります。
対象者を誤解していると、質問が的外れになってしまい、結果として高品質なデータを得られなくなってしまいます。

例えば、新しい機能を実装したプロダクトの満足度を調査したい場合、実際にその機能を使ったことがない人にもアンケートを送信してしまうケースがあります。
このような場合、回答者が実際の利用体験に基づかず、推測や印象だけで回答してしまうため、プロダクトの改善につながる具体的なフィードバックが得られません。
結果として、収集されたデータは信頼性を欠き、ユーザーの本当のニーズや満足度を正しく把握できなくなります。

3. 聞きたいことをリスト化する

アンケート設計の初期段階では、対象者に聞きたいことをリスト化することが効果的だと感じています。
具体的には、今回のアンケートで知りたいことを書き出し、整理する作業を行います。この際、システムの利用データや社内で既に把握している情報については、極力質問から除外することで、アンケートの質問数を削減し、回答者の負担を減らすことが可能です。
ただし、回答者の意識を確認するために、既存データと重複する質問をあえて入れることもあります。こうすることで、データに現れない主観的な体験や感覚を把握できる場合があります。
また、似ている質問はまとめたり、質問順を調整することで、質問数や質問の流れをスムーズにします。

例えば、既存の業務改善サービスに新機能を追加する際のニーズ調査アンケートの場合、以下のようなカテゴリに整理することが考えられます。
業務環境・体制:対象者の業務環境や組織体制についての情報。
業務フロー:日々の業務の流れや利用しているツールに関する質問。
業務や既存サービスに対する課題:現在感じている課題やサービスに対する不満点。
新機能に対する印象(利用意向):提案したい新機能に対する期待やニーズ。

このように、質問をカテゴリに分けることで、アンケート全体の整理ができ、分析もしやすくなります。

4. 適切な質問形式を選ぶ

アンケートの質問形式には、選択式、自由回答式、リッカート尺度など様々な種類があります。
収集したいデータに応じて、適切な形式を選ぶことが重要です。不適切な形式を選ぶと、解答者が混乱したり、結果が偏ったりすることがあります。

弊社での具体事例

改善前
ユーザーインターフェース(UI)に関する質問で、自由回答式で「UIに関して良かった点」「改善が必要だと感じた点」を聞いた際、回答内容がバラバラで、具体的な画面名や機能名が挙げられることもあれば、漠然とした不満が記載されることもありました。
このため、データを集計しても具体的な改善箇所の傾向が掴みにくく、明快な洞察が得られませんでした。
改善後
選択式に改善し、「使いづらい機能群」と「その機能群で感じた問題点」をあらかじめ選択肢として提示し、複数回答可能な形式に変更しました。これにより、どの機能で使いづらさが感じられているのか、また具体的にどのような問題が多いのかが把握しやすくなりました。選択式を用いることで、得られたデータが数値化され、特定の機能の改善を重点的に考えるための根拠を得ることができました。

このように、適切な質問形式を選ぶことで、収集データの質が大きく変わる可能性があります。

5. 質問文や回答の選択肢の言い回しを整える

質問の表現方法は回答に大きな影響を与えると感じています。
言い回しによっては無意識に回答者を特定の回答に導いてしまうことがあります。そのため、分かりやすさに加えて中立的な表現を心がける必要があります。
また、「言葉の定義を明確にする」ことも大切です。質問文や回答の選択肢に使用する言葉の定義が曖昧なまま進めてしまうと、こちらが得たい情報と異なる回答を得てしまう可能性があります。

例えば、「請求金額を教えてください」という質問文の場合、回答者によって、1件あたりの請求金額を答えるのか、月間の平均値なのか、年間の総額なのかが異なり、回答にばらつきが出ることがあります。

明確な定義を与えることで、回答の一貫性と正確性を確保できます。

6. アンケートのテスト回答をする

本番の対象者に送信する前に、小規模なグループでアンケートをテストすることが大切です。
客観的にアンケートを確認することで、質問の不明瞭さや技術的な問題が早期に発見できます。

最後に

アンケート設計は単なる技術ではなく、創造的な要素を多く含むプロセスだと感じています。
アンケートの実施目的を明確にし、対象者を理解し、慎重に質問を設計することで「アンケートを実施したけど活用できるデータが得られなかった…」というネガティブな状況は発生しづらくなると思います。
冒頭にも書いた通り、効果的なアンケートを設計するには多くの工夫が必要です。今後も効果的な方法や工夫を模索しながら、正しくユーザーを理解できるためのアンケート設計を目指していきたいです。
今回紹介した内容がアンケート作成業務に携わる皆さんにとって少しでも参考になれば幸いです。



We are hiring!!

ROBOT PAYMENTでは一緒に働く仲間を募集しています!!!


www.robotpayment.co.jp